YouTube動画が著作権で削除された時の復旧手順|BGMが原因の場合の対処5ステップ

朝起きてYouTube Studioを開いた瞬間、自分の動画一覧から1本が消えている。代わりに表示されているのは赤い「著作権侵害」のラベル。チャンネル全体の視聴回数が一晩で半減、収益化の心配、再生履歴の喪失──冷静になれと言われても無理。

ここで深呼吸を1つ。ストライクが有効な90日以内に正しい手順を踏めば、削除動画は復活します。チャンネルストライクも90日で自動消滅。今回は削除通知が来た瞬間にやることと、二度と削除されないBGM選びを、実際にTunelushに相談に来たクリエイターの事例ベースでまとめます。

なおこの記事は「DMCA削除(チャンネルストライク)」の話。Content ID の収益化型申し立てとは別物です。「申し立て」の文字が通知に出ているだけなら、YouTube Content ID 警告が来た時の対処法5つのほうが該当します。

第1章:「警告」と「削除」は別物──DMCAストライク制度の正体

YouTubeの著作権関連で動画が「削除」される場合、原因はほぼDMCAテイクダウンです。米国のデジタルミレニアム著作権法(Digital Millennium Copyright Act)に基づく削除請求のこと。Content ID とは制度がまるで違います。

項目 Content ID 申し立て DMCAストライク
動画の状態 公開継続 即削除
影響範囲 当該動画の収益のみ チャンネル全体に累積
法的性質 民事のみ 刑事責任に発展する可能性あり
累積ペナルティ なし 3回でチャンネルBAN
異議の期限 30日以内 ストライク有効期間(90日)以内ならいつでも
申立人の反論期限 7日 投稿者の異議後 10営業日
ストライク消滅 - 90日で自動失効

ここで覚えておくべき数字は3つだけ。「90日・3回・10営業日」

異議申し立て(Counter Notification)はストライクが有効な90日以内ならいつでも提出可能。ただし放置するほど機会損失が積み上がるので、当日〜翌日中に出すのが現実的なライン。

ストライクが3回累積するとチャンネルそのものがBAN。1回受けたストライクは90日経過で自動消滅、ただし90日経つ前に2回目を受けると累積扱いで危険水域に入ります。投稿者が異議を出した後、申立人が10営業日以内に訴訟手続きの証拠を提出しなければ動画は自動復旧。これは米国DMCA法に明記された、投稿者側に味方するルールです。

つまり初回ストライクは「90日間の謹慎期間」だと思って運用します。この間にもう1本でも削除されると、チャンネル消失のカウントダウンが始まる。

第2章:YouTube Studioで状況を確認する3手順

慌てて異議申し立てフォームに飛ぶ前に、3点だけ調べます。証拠固めの順番が後の勝率を決めるので、ここは飛ばさないでください。

手順1:申立人と楽曲を特定する

YouTube Studioの左メニュー →「コンテンツ」→ フィルターで「著作権による削除」を選択。該当動画をクリックすると、申立人・申立日時・対象部分のタイムスタンプ・引用された楽曲名が表示されます。

ここで申立人の名前を必ずメモかスクショ。後の異議申し立て書類で「相手の名前」が必要になるため。

手順2:ダウンロード履歴と利用規約を集める

使用したBGMのダウンロード元サイトを開きます。確認するのは3点。

  • ダウンロード時のページURLとライセンス文面
  • ダウンロード日時の証明(領収書メール・サブスク登録履歴)
  • 当該楽曲の利用規約「商用利用可能」「DMCA発生時のサポート」の記載

Tunelushの場合、マイページのダウンロード履歴に日時が残ります。Audiostockなら購入履歴メール、Artlistならアカウント履歴。この証拠が揃うかどうかで異議申し立ての成否が9割決まるので、最初の30分はここに集中。

手順3:申立人の正体を見極める

申立人の名前と、ダウンロードしたサイトの運営者名が一致しているか。

一致 → 正規の権利者からの申し立て。ライセンス範囲内かどうか規約を読み直す。範囲外の使い方をしていたら諦めて削除を受け入れる判断もアリ。
一致しない → 第三者によるなりすまし削除請求の可能性大。海外法人っぽい名前、過去に同様の不当請求が報告されている名前なら、勝率は7割以上。即・異議申し立てへ。

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第3章:復旧手順5ステップ(早く出すほど勝率が上がる)

ここが本記事のメインです。1〜5を順番に。すべて30分〜1時間で終わります。

ステップ1:異議申し立て(Counter Notification)の準備

YouTube Studio →「著作権」タブ → 該当動画の「異議を申し立てる」ボタン。フォームが開くまで5秒。

提出期限はストライク有効期間(90日)以内ならいつでも可能ですが、相手が「Scheduled Takedown(7日猶予)」を選択している場合に限り、削除前の7日間に自分で動画を取り下げてストライクを回避する選択肢もあります。通知メールに「scheduled」の文字があれば該当するので、メール本文を必ず精読。

最初にラジオボタンで申し立て理由を選択します。

  • 「ライセンス取得済み」 → フリーBGMサイト・サブスク楽曲を正規ダウンロードした場合
  • 「フェアユース」 → 引用や批評での使用(BGM用途では非推奨)
  • 「申立人が著作権者ではない」 → なりすまし請求の場合

BGM起因の削除なら、99%は1番目の「ライセンス取得済み」で進めます。

ステップ2:異議申し立て本文のテンプレ

下記をコピーして必要箇所だけ書き換え。法的書類なので感情的な文言は一切入れないこと。

[サイト名] のライセンスに基づき [DL日] に取得した商用利用可能な楽曲を、本動画 [動画タイトル] で使用しています。
配布元URL: [URL]
ライセンス文面: [当該規約ページURLまたはスクショURL]
ダウンロード証明: [購入履歴メール日時 / マイページスクショ]
本動画での使用は当該ライセンスの範囲内であり、申立人 [申立人名] による削除請求は不当と判断します。動画の即時復旧を求めます。
申立人による誤認・誤申請の場合は撤回を求めます。本異議申し立ては虚偽の事実を含まず、宣誓のもと提出します。

英語フォームを要求された場合のテンプレも用意しておきます。

This video, "[Video Title]", uses a music track licensed under [Site Name]'s commercial-use license, downloaded on [Date].
Source URL: [URL]
License terms: [URL]
Proof of download: [Purchase email date / Account history screenshot]
The use of this music in the video falls within the licensed scope. The takedown request from [Claimant Name] is therefore unfounded. I request immediate reinstatement of the video.
I declare under penalty of perjury that the above information is true and correct.

末尾の宣誓文(penalty of perjury)は必須項目。これがないと書類が無効化されます。

ステップ3:提出後10営業日の申立人反論期間

提出後、YouTubeから自動返信メールが届きます。その後、申立人に通知が転送され、申立人が10営業日以内に訴訟手続きの証拠(裁判所への提訴証明)を提出しなければ動画は自動復旧します。米国DMCA法第512条に基づく規定。実務上、なりすまし請求の8割は申立人がここで沈黙し、自動復旧で決着がつきます。

この期間中にやるべきこと。

  • 削除された動画の再アップは絶対にしない(ストライク2個目になる)
  • 同じBGMを使った他の動画を非公開化(追加削除予防)
  • ダウンロード履歴・規約のスクショをすべて1フォルダに集約

ステップ4:結果の判断分岐

10〜14営業日後、結果が3パターンで返ってきます。

パターンA:申立人が反論せず → 動画復旧、ストライク取り消し。最も多いケース。なりすまし請求の8割はここで沈黙します。

パターンB:申立人が反論 → 著作権訴訟通知。相手が本気の場合。米国の裁判管轄に同意する書類提出が必要。ここまで来たら弁護士相談を強く推奨。

パターンC:YouTubeが書類不備で却下 → 再提出。書類の宣誓文や住所記入漏れが原因。修正して再提出可能。

ステップ5:ストライク消滅までの90日運用ルール

復旧した後も、ストライクの「履歴」は残ります。90日経過で自動消滅するまでは、1本も削除されない運用が必須。

具体的には3点。

  • 過去動画のBGMを全件再点検(次章で手順)
  • 新規動画は「Content ID未登録 + 商用利用OK + 削除サポート明記」のサービスのみ使用
  • 怪しい無料BGMサイトは90日間封印

この90日を乗り切れば、チャンネルは完全に元の状態に戻ります。

第4章:二度と削除されないBGMの選び方

復旧の話はここまで。本題は「次にどうやって防ぐか」。再発させない3つのチェックポイントです。

チェック1:Content ID未登録 + DMCA削除サポートの両方を明記

利用規約に下記2点が書面で記載されているサービスを選びます。

  • 「楽曲をContent IDに登録していない」ことの保証
  • 「DMCA削除請求が発生した場合、運営側がサポート対応する」ことの明記

口頭やTwitterでの「大丈夫ですよ」は法的根拠ゼロ。利用規約PDFまたは公式FAQに明文記載が必須。Tunelushは利用規約とFAQの両方にこの2点を記載しています。海外勢のArtlistやEpidemic Soundは「Content ID自動許可申請」という別仕組みなので、削除予防の観点では国内サービスの方が直接的です。

チェック2:ダウンロード履歴がアカウント側に残る

DMCA異議申し立てで証拠になるのは、サービス側が保有する履歴データ。クリエイター側のスクショだけでは弱い。マイページにダウンロード日時が残るサービスを選ぶこと。

  • Audiostock:購入履歴メール + マイページ履歴あり
  • Artlist:アカウント履歴あり
  • Tunelush:マイページ「ダウンロード履歴」に日時表示
  • DOVA-SYNDROME:履歴機能なし(自分でスクショ管理)
  • 怪しい無料配布サイト:履歴ゼロ → DMCA時に詰む

チェック3:1社依存をやめてジャンル別に2〜3社併用

どんな優良サービスでも、運営方針変更や買収のリスクはあります。Lo-Fiは A、Cinematicは B、ボーカル入りは C と分散しておけば、片方の方針変更で全動画が危険になる事態を避けられます。

主要サービスの DMCA・Content ID 対応一覧(2026年5月時点)

サービス 月額 Content ID DMCA時のサポート 削除予防の総合
Audiostock 単曲500円〜 登録あり 公式サポート明記 ◎(買い切りで強固)
Artlist $9.99/月〜 自動許可申請 サポートあり
Epidemic Sound $15/月〜 自動許可申請 サポートあり
DOVA-SYNDROME 無料 楽曲ごとに違う 個別対応
Tunelush 660円/月 未登録方針 規約明記 ◎(月額最安)

詳しい競合比較はAudiostock vs Tunelush 正直レビューArtlist 代替を本気で選ぶ 5サービス比較も参考にどうぞ。

第5章:復旧後にやるべきこと

異議申し立てが通って動画が戻ってきたら、それで終わりではありません。残り90日の謹慎期間を無傷で抜けるための再点検手順を3つ。

再点検1:過去動画のBGM一斉確認

YouTube Studio →「コンテンツ」→「すべての動画」→ フィルターで「著作権の問題」を選択。Content IDマッチも含めて警告中の動画が一覧化されます。ここで何かしらの問題が表示されている動画は全部非公開化。再生回数より、次のストライクを防ぐ方が優先順位が圧倒的に高い。

再点検2:BGM管理表の作成

スプレッドシートに「動画タイトル|公開日|使用BGM名|DL元サービス|DL日|ライセンス文面URL」の列で表を作成。過去動画の3割でも記録が抜けていたら、その動画群が次のストライクで沈みます。1〜2時間かけて全動画分を埋める価値あり。

再点検3:削除された動画の再アップ判断

復旧した動画は元のURLのまま戻ります。同じ動画を別URLで再アップしてはいけません。チャンネルストライク2個目を自分で取りに行く行為に等しい。

新しい動画として作り直す場合は、必ず別BGMで撮り直し、概要欄にもBGMクレジットを明記しておくと安全度が上がります。

FAQ

Q1. 異議申し立てが却下されたら?

書類不備が原因なら再提出可能。申立人が反論してきた場合は「著作権訴訟通知」フェーズに入ります。米国の裁判管轄への同意書を提出する必要があり、ここから先は弁護士マターです。日本のクリエイターが個人で対応する範囲を超えるので、ストライク1回を受け入れて90日待つ判断が現実的なケースが多い。

Q2. チャンネルストライクが2回累積している状態での緊急対処は?

過去動画で著作権関連の警告が出ているもの全件を即・非公開化。残り1ストライクでBANになる状態なので、新規投稿も90日間止めます。同時に、利用中のBGMサービスを「Content ID未登録 + DMCA削除サポート明記」のものだけに絞り、過去のBGMダウンロード履歴を全て保全。3個目を絶対に取らないことが最優先。

Q3. 過去にアップロード済みの動画で同じBGMを使っているものをまとめて確認する方法は?

YouTube Studio →「アナリティクス」→「コンテンツ」→ 検索バーに当該楽曲名を入れると、楽曲名が概要欄に書かれている動画が一覧化されます。概要欄に書いていない動画は手動で見るしかないので、動画作成時にBGM名を概要欄またはコメントピン留めに必ず書く運用を今から始めるとよいです。

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※本記事に記載されている各サービスの料金・機能・利用規約・Content ID/DMCA対応に関する情報は、2026年5月6日時点で各社公式サイトに公開されている内容を参照しています。各サービスの仕様・価格・規約は予告なく変更される可能性があるため、契約や利用の前に必ず各サービスの公式サイトで最新情報をご確認ください。本記事の内容は法律相談ではありません。深刻なトラブルが発生した場合は弁護士など専門家への相談を推奨します。

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