動画を投稿した翌朝、メールボックスに英語の通知。「Content ID により著作権の申し立てを受けました」。広告収益が止まり、最悪の場合は地域ブロック。あの心臓が冷える感覚、Tunelushの運営でも何度もクリエイターから相談を受けてきました。
警告が来た直後にやるべきことは、実はかなり単純です。30分あれば全部終わる。やっかいなのは「二度と引っかからないBGM選び」のほう。今回は両方を、現場で使える形にまとめます。
第1章:Content ID の正体──「フリーBGMなのに申し立てが来る」現象の仕組み
Content ID は2007年から YouTube が運用している自動マッチング技術。アップロードされた動画を、権利者が登録した音源・映像のデータベースと自動で照合します。一致した瞬間、権利者があらかじめ指定したアクションが走る。
指定できるアクションは3種類。
- 収益化型:動画は通常通り公開、広告収益だけ権利者へ
- 追跡型:視聴データだけ収集、現状は変わらない
- ブロック型:指定地域もしくは全世界で再生不可
ここで誤解されやすいのが「権利者の指定」という言葉。フリーBGMサイトの楽曲でも、第三者がアグリゲーター経由で「自分の作品」として登録するケースが実在します。
具体例で書きます。
楽曲Aをサイトsが無料配布。別の利用者Bが、海外の音楽ディストリビューターを経由して、楽曲Aを自分名義で Content ID に登録。結果、楽曲Aを正規の手順で使ったクリエイターDの動画に、Bからの申し立てが飛ぶ。Dは何も悪くない。それでも収益は奪われる。
これが「フリーBGMなのに警告が来た」と言われる現象の正体です。ユーザー側からは見えない裏側で、こういう不正登録が日常的に発生している。
第2章:警告が来たら最初に確認する3つのこと
慌てて異議申し立てに進む前に、必ず3点だけ確認します。順番が大事。
確認1:申し立ての「種類」を見る
YouTube Studio の左メニュー →「コンテンツ」→ 該当動画 →「制限」列のリンク。ここに3種類のうちどれかが表示されます。
収益化型なら、放置しても動画は消えません。広告収益が相手に行くだけ。
ブロック型なら、視聴者が動画を見られない状態。即対応が必要。
追跡型なら現状維持なので、後回しでOK。
申し立ての「重大さ」が違えば打つ手も変わります。最初の30秒で見極めます。
確認2:楽曲のソースを再確認
ダウンロードしたサイト名、URL、ダウンロード日。利用規約のうち「Content ID 申し立てが発生した場合の対応」の記載があるか。
ここで該当ページのスクリーンショットがあるかどうかが、後の異議申し立ての勝率を大きく決めます。Tunelushの場合、ダウンロード履歴がマイページに残るので、日付の証明はその画面のキャプチャで足りる仕様にしてあります。他サービスの場合、領収書メールやサブスク契約画面が証拠になります。
確認3:申し立て元の名前を見る
ここが本丸。
申し立て元の名前と、ダウンロード元サイトの運営者名が一致しているか。
一致 → 正規の権利者からの主張なので、ライセンス文面を読み直す。
全然違う名前 → 第三者の不正申請の可能性が高い。すぐ異議申し立てへ。
ここで「知らない海外法人っぽい名前」が出たら、まず疑ってかかって構いません。
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第3章:異議申し立ての具体手順とテンプレ
YouTube Studio の操作はシンプルです。
- 「著作権」タブ → 該当動画の申し立てを開く
- 「申し立てを行う」ボタン
- 理由のラジオで「ライセンスを取得済み」を選択
- コメント欄に下記テンプレを貼り付け
[サイト名] のライセンスに基づき、[DL日] にダウンロードした商用利用可能な楽曲を本動画で使用しています。
配布元URL: [URL]
ライセンス文面: [当該ページURLまたはスクショ]
本動画での使用は当該ライセンスの範囲内であり、申し立ては不当と判断します。
30日以内に取り下げを求めます。
英語版のテンプレも用意しておくと、海外法人相手のときに通りが良くなります。
This video uses a track licensed under [Site Name]'s commercial-use license, downloaded on [Date].
Source URL: [URL]
License terms: [URL or screenshot]
The use in this video falls within the licensed scope, and this claim is therefore disputed.
I request the claim be released within 30 days.
提出後30日以内に相手から反論がなければ、申し立ては自動で解除されます。これがYouTube Content ID の仕組みのうち、申し立てを受けた側に味方する数少ないルール。
反論が来た場合は「異議申し立てへの再申し立て」になります。ここから先は警告ストライクのリスクがゼロではないので、証拠が固まっていないなら一度立ち止まる判断もアリ。
第4章:二度と引っかからないBGM選びの5原則
ここからが本題です。Content ID 警告は「来てから対処」では遅い。最初から踏まない選び方を5つ。
原則1:ダウンロード時にライセンス文面をスクショ保存
クリエイターの大半が、ここを飛ばして失敗します。サイトの規約は更新されるもの。3年後に申し立てが来たとき、当時の文面が残っていないと立証できない。
スクショ + ファイル名に「YYYY-MM-DD-サイト名-曲名.png」と日付を入れる癖をつけます。Google Drive に「BGM-licenses」フォルダを作って放り込むだけで、後から検索できます。
原則2:YouTube Studio の「楽曲ライブラリ」で事前マッチ確認
実はYouTube側に、アップロード前に楽曲が Content ID DB に登録されているか確認できる機能があります。
YouTube Studio →「コンテンツ」→ 動画アップロードのプレビュー画面 →「動画チェック」。ここでマッチが検出されたらアウトの可能性が高い。事前に差し替えれば申し立て自体が飛んでこない。
原則3:「Content ID 未登録」を明記しているサービスを優先
利用規約に「当社は楽曲を Content ID に登録していません」と明記してあるかどうか。書いていないサービスは、運営方針の変更で将来登録するリスクがゼロではない。
明記があるサービスは、その文言が証拠書類として機能します。Tunelushの場合、利用規約とFAQの両方に「Content ID 未登録」を記載しています。
原則4:商用利用OK・クレジット不要・Content ID未登録の三拍子
このうちどれか1つでも欠けると、後で詰みます。
商用利用OKだけど Content ID 登録あり → 申し立て対応に消耗する。
クレジット不要だけど商用NG → 収益化動画では使えない。
全部OKだけど月額3,000円超 → 続かない。
3つ揃って、月額が現実的な範囲。これが安心して長期運用できるラインです。
原則5:1サイト依存をやめてジャンル別に2〜3サイト併用
どんなに優良なサービスでも、運営方針が変わる可能性はゼロではありません。Lo-Fiは A、Cinematic は B、ボーカル入りは C と分けておくと、片方が不調でも動画制作は止まらない。
リスク分散は投資の話ではなく、クリエイティブの保険です。
第5章:主要BGMサービスの Content ID 対応比較
2026年5月時点で、日本人クリエイターが現実的に選ぶBGMサービスを、Content ID 観点で並べます。
| サービス | 月額 | Content ID 方針 | 強み |
|---|---|---|---|
| Audiostock | 単曲500円〜(買い切り) | 登録あり(公式) | プロ品質・買い切りでライセンス強固 |
| Artlist | 約 $9.99/月(年契約) | 自動許可申請の仕組みあり | 海外曲・映画系BGMの量 |
| Epidemic Sound | 約 $15/月 | 自動許可申請の仕組みあり | 海外勢の中で曲数最大級 |
| DOVA-SYNDROME | 無料 | 楽曲ごとに方針が違う | 無料で使える幅広いジャンル |
| Tunelush | 660円/月 | 未登録方針 | Content ID 未登録 + 月額が一番安い |
それぞれ役割が違います。プロMVを撮るなら Audiostock の買い切り、海外ターゲットなら Artlist や Epidemic Sound、無料で済ませたいなら DOVA-SYNDROME。
Tunelushが埋めているのは「Content ID 未登録のサブスクで月額を一番安く抑えたい」というニッチ。日本人クリエイターのリスク回避と財布事情、両方に手が届く価格設計にしています。
詳細な比較記事も置いてあります。
FAQ
Q1. 申し立てを無視したらどうなる?
収益化型を放置すると、広告収益が相手に行き続けるだけで動画自体は消えません。ただしブロック型を放置すると、地域ブロックが続いて視聴機会を失います。さらに同じパターンの申し立てを繰り返し受けると、警告ストライクに発展する可能性も。最低でも申し立ての種類確認は当日中に。
Q2. 異議申し立てに失敗したら次はどうする?
「異議申し立てへの再申し立て」に進めますが、ここでの主張内容に虚偽があると警告ストライクが発行されます。証拠が完璧に揃っているなら進める価値あり。少しでも不安があれば、該当動画から問題のBGMを差し替えて再アップする方が早く解決します。
Q3. フリーBGMサイトの楽曲が他人に Content ID 登録されているか、事前に確認する方法は?
YouTube Studio のアップロード画面で「動画チェック」プロセスを通すと、Content ID とのマッチ結果が表示されます。投稿前にこの画面でチェックすれば、申し立てが発生する楽曲を事前に弾けます。Tunelushの場合は楽曲詳細ページに「Content ID 未登録」表示を出しているので、ダウンロード時点で判別できます。
※本記事に記載されている各サービスの料金・機能・利用規約・Content ID対応に関する情報は、2026年5月6日時点で各社公式サイトに公開されている内容を参照しています。各サービスの仕様・価格・規約は予告なく変更される可能性があるため、契約や利用の前に必ず各サービスの公式サイトで最新情報をご確認ください。本記事の内容は法律相談ではありません。深刻なトラブルが発生した場合は弁護士など専門家への相談を推奨します。