ゲーム配信のBGM選び|TwitchとYouTubeで違う著作権ルール【2026年版】

ゲーム配信を始めて半年ほど経つと、BGMの扱いで地味に困る場面が増えてきます。

  • 配信中にかけていた曲が、VODに残った瞬間に消音される
  • 切り抜きを上げた途端にYouTube側でContent ID警告が来る
  • TwitchのVODでDMCA通告が届き、過去配信が一括削除される

これらは配信プラットフォームごとに著作権ルールが違うことを知らないまま、BGMの選び方を「YouTube動画と同じ感覚」で運用していると起きやすい現象です。配信者の友人にも「VODは消えるものとして諦めてる」「Twitchの3振りルールが怖いから音楽をかけない」という人がいるかもしれません。

実際には、配信中・VOD・クリップ・切り抜きで適用される著作権ルールは異なり、それぞれに合ったBGMの選び方があります。この記事では、ゲーム配信者向けに、TwitchとYouTubeのBGM著作権ルールの違い、DMCAストライクへの構造的対処、配信特化のBGM選びの判断軸を、2026年5月時点の公式情報ベースで整理しました。

「BGMをかけるのが怖い」状態から、「ルールを知った上で安全に使える」状態に移ってもらうための記事です。

第1章 TwitchとYouTubeでBGM著作権ルールが違う理由

ゲーム配信のBGM問題を整理する前提として、配信プラットフォームごとに著作権の扱いが違うことを押さえておく必要があります。

YouTubeの場合

YouTubeはGoogleが運営するプラットフォームで、著作権関連の主な仕組みは以下の3つです。

  1. Content ID:レーベルや作曲者が登録した楽曲を自動検出。検出時は「収益化請求」「ブロック」「クレーム表示」のいずれかの扱いに切り替わる
  2. DMCA削除リクエスト:権利者からの正式な削除申請。受理されると動画削除+チャンネル側にストライクが付与
  3. JASRAC包括契約:YouTubeはJASRACと包括契約があり、JASRAC管理楽曲については一定の条件下で利用可(ただし原盤権は別)

ライブ配信時もこれらの仕組みは適用されますが、Content IDの検出は配信中はリアルタイム性が低く、配信終了後のVODやアーカイブで検出されるケースが多いのが特徴です。

Twitchの場合

TwitchはAmazon傘下のライブ配信プラットフォームで、著作権関連の主な仕組みは以下です。

  1. Music Guidelines:配信中・VOD・クリップでの音楽利用に関する公式ガイドライン。「自分が権利を持たない音楽をTwitchの配信またはVODに含めることはできない」が基本ルール
  2. DMCA Notification:権利者からの削除申請を受理する手続き
  3. 3振りルール(Repeat Infringer Policy):DMCAストライクが3つ累積するとアカウントが永久停止になる仕組み

Twitchは2023年7月17日に、プラットフォーム独自のBGMサービス「Soundtrack by Twitch」の提供を終了しています。3年間の運用で利用が限定的だったこと、代替手段が他に多数存在することを理由に挙げています。現在は配信者が独自にBGMの権利処理をする必要があります(最新情報は公式サポートで要確認)。

YouTubeとTwitchの違いをまとめると

項目 YouTube Twitch
自動検出システム Content ID(高精度・自動) 権利者からのDMCA通告ベースの手動検出が中心
ライブ配信中のBGM検出 限定的(配信終了後のアーカイブで検出) 限定的(VOD・クリップで検出されることが多い)
VOD・アーカイブのBGM検出 Content IDが効く DMCA通告で検出される
累積ストライク制度 3回で永久停止(90日で1ストライク消滅) 3回で永久停止(ストライクは記録に永久に残る)
プラットフォーム提供のBGMライブラリ YouTube Audio Library(YouTube内のみ) 2023年7月にSoundtrack by Twitchが終了
JASRAC包括契約 あり 個別状況の確認が必要

この違いから読み取れるのは、「YouTubeで使えるBGM=Twitchでも使える」とは限らないこと。一例として、JASRAC管理楽曲をYouTubeで包括契約に依存して使っていた配信者が、Twitchに同じ感覚で持ち込むと、JASRAC包括契約の有無や原盤権の問題で別のリスクを抱えることがあります。

切り抜き・クリップを「他人が」上げる場合

ゲーム配信特有の問題として、配信者本人ではなく視聴者が切り抜きやクリップを別プラットフォームに上げるケースがあります。たとえば:

  • Twitch配信のクリップが第三者によってYouTube Shortsに転載される
  • Twitch配信のVODが第三者によってYouTube動画にアップロードされる

この場合、転載先プラットフォームの著作権ルールが適用されます。TwitchのMusic Guidelinesで認められた使い方が、YouTubeに転載された瞬間にContent ID警告の対象になる現象も起きます。

配信者本人が把握していない切り抜きで著作権警告が発生すると、本人の収益や評判に影響することもあるため、「どのプラットフォームに転載されてもリスクが同じ」なBGMを選んでおく方が、量産配信運用には合理的です。

第2章 配信中・VOD・クリップで適用ルールが変わる

ゲーム配信のBGMリスクは、配信のフェーズごとに別ルールで動きます。1本の配信が「ライブ→VOD→クリップ→転載」と4段階を踏む間に、適用される著作権の網が変わっていく、という構造です。

配信中(ライブ)

ライブ配信中は、リアルタイム検出の網が他フェーズより緩めです。Twitchは配信中にDMCA通告が届くケースは少なく、YouTube Liveも配信中のContent ID検出はあるものの、VODに残ったあとの検出より精度が落ちる傾向があります。

ただし「配信中だから何でもOK」ではありません。Twitchのガイドライン本文には「自分が権利を持たない音楽を配信に含めることはできない」と明記されています。ライブ中に検出されないことと、規約違反でないことは別の話で、後から遡及的にDMCA通告が届く可能性は常にあります。

VOD・アーカイブ

ここから一気にリスクが上がります。

  • Twitch VOD:配信終了後のアーカイブに対してDMCA通告が届くと、該当箇所がミュート処理または動画削除になります。同時に、配信者アカウントにストライクが付与されます。
  • YouTube Live配信のアーカイブ:Content IDの検出が完全に走り、楽曲が登録されている場合は収益化請求・ブロック・クレーム表示のいずれかが適用されます。

VOD・アーカイブを残したい配信者にとって、ここがもっとも警戒すべきフェーズです。

クリップ

Twitchのクリップ機能は、配信中の特定シーンを30秒前後で切り出して保存・共有できる仕組みです。クリップ自体にもDMCA通告が届く可能性があり、過去のクリップが遡って削除される事象も起こります。

「配信は終了したから安心」ではなく、過去のクリップが永遠にDMCA対象として残り続けるという認識が必要です。

切り抜き・第三者による転載

ここが配信者の盲点になりやすい領域です。

  • 視聴者がTwitchクリップをYouTube Shortsに転載
  • 視聴者がTwitch VODの一部をYouTubeに切り抜き動画として投稿
  • 第三者が無断でTikTokに音声込みで転載

これらは配信者本人の管理外で起きますが、転載先プラットフォームでの著作権警告が、巡り巡って配信者本人のチャンネル評判に影響することがあります。とくに、配信者がYouTubeチャンネルも運営している場合、Twitchで使ったBGMが切り抜き経由でYouTube側のContent ID警告につながると、本人のYouTubeチャンネルにストライクが付くリスクが生まれます。

フェーズ別のリスクまとめ

フェーズ 主なリスク 検出のされ方
配信中(ライブ) 低〜中 リアルタイム検出は限定的
VOD・アーカイブ Content ID(YouTube)/DMCA通告(Twitch)
クリップ 中〜高 過去にも遡る
第三者転載 本人管理外 転載先のルール適用

このフェーズ構造を踏まえると、「全フェーズで同じく安全な楽曲」を選ぶことが、量産配信運用での実務的な解になります。

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第3章 DMCAストライクとTwitchの3振りルール

Twitchの3振りルールは、配信者が音楽利用で警戒する仕組みのなかでもっとも重い帰結を持ちます。条文と実運用を整理します。

3振りルールの段階

Twitch公式のRepeat Infringer Policyによれば、DMCAストライクの累積に応じて以下のペナルティが課されます。

  • 1回目:24時間のアカウント停止
  • 2回目:24時間〜7日間のアカウント停止
  • 3回目:アカウント永久停止(無期限BAN)

ここで重要な事実が2つあります。

事実1:DMCAストライクは記録から消えない

Twitchの他の違反(コミュニティガイドライン違反など)には、約90日で警告が消える「probation period」がありますが、DMCAストライクは記録から永久に消えない仕組みです。1回目のストライクを受けた時点で、「あと2回で永久BAN」のカウントが半永久的に残ります。

事実2:ストライクの異議申し立ては可能だが負担が大きい

DMCA通告に対しては、配信者側からカウンタークレーム(異議申し立て)を提出できます。ただし手続きは英語ベースで、虚偽申し立てには法的責任が伴うため、安易な異議申し立てはリスクがあります。詳しい異議申し立ての流れは YouTube動画が著作権で削除された時の復旧手順 も参考になりますが、Twitch固有の手続きは公式ヘルプで確認してください。

YouTubeの著作権ストライクとの違い

YouTubeも3ストライクで永久停止という仕組みは同じですが、90日でストライクが1回消滅する仕組みがあり、Twitchより救済の余地が大きいです。Content ID警告と著作権ストライクは別物で、Content ID警告だけでは即座にストライクにはなりません。詳細は YouTube Content ID警告対応の完全ガイド で扱っています。

構造的な対処:「ストライクが原理的に発生しないBGM源」を中心に置く

Twitchの3振りルールへの対処は、事後対応より事前にDMCA通告の対象になり得ない楽曲を選ぶことに尽きます。具体的には:

  • 商用利用OK・配信プラットフォームでの利用を明文で許諾しているBGMサービスを選ぶ
  • 楽曲の権利者がサービス側でまとめて管理されている(個別の権利処理が不要な)構造を選ぶ
  • 解約後ライセンスが「過去配信VOD・クリップにも継続適用される」サービスを選ぶ

これらを満たすBGMサービスの楽曲なら、DMCA通告の対象になる構造的な根拠がない状態で運用できます。「絶対に通告が来ない」という保証はどのサービスでも難しいですが、通告のリスクが原理的に低い設計を選ぶことはできます。

第4章 BGMサービス選びの判断軸(配信特化)

ゲーム配信のBGM選びは、YouTube動画クリエイターの判断軸とは少し違います。配信特有の観点で4つの判断軸を整理します。

軸1:配信プラットフォームでの利用が明文で許諾されているか

「YouTubeで使える」と書かれていても、Twitchやライブ配信での利用は別途許諾が必要なサービスがあります。規約原文で「ライブ配信プラットフォームでの利用OK」が明記されているかを確認します。

軸2:VOD・クリップ保存後も利用可能か

配信のVODを残す運用なら、ダウンロード済み楽曲が解約後も新規VODに使えるかが論点です。「公開済み動画のみ永久ライセンス」型のサービスは、配信者にとっては解約タイミングで運用が止まる構造になります。

軸3:第三者の切り抜き・転載先でもリスクが変わらないか

Content ID登録楽曲を使うと、第三者がYouTubeに切り抜きを上げた瞬間に、本人のチャンネル外で警告が発生する可能性があります。Content ID未登録のサービスを選ぶと、転載されてもリスクの構造が変わらないので、量産配信運用に向きます。

軸4:JASRAC関連の手間がないか

楽曲がJASRAC管理下にあると、利用者側でJASRAC関連の手続きや確認が必要になるケースがあります。JASRAC非登録のサービスを選ぶと、配信プラットフォームの包括契約や原盤権の議論を毎回する必要がなくなります。

Tunelushが配信運用にどう効くか

Tunelushは上記4軸のうち、軸2・軸3・軸4で配信運用との相性を意識した設計を取っています。

Tunelushの該当設計
軸1:配信での利用許諾 商用利用OK(配信プラットフォーム個別の動作保証は規約で明記しないので、配信者側で各プラットフォームの音楽ガイドラインも併読推奨)
軸2:VOD・クリップ保存後の利用 利用規約 第4条(ライセンスの付与)で、契約期間中DL曲は解約後も新規プロジェクトで永続利用可と明文保証
軸3:転載先でのリスク Content ID未登録・自社管理。第三者がYouTubeに切り抜きを上げてもContent ID由来の警告は発生しない構造
軸4:JASRAC関連 JASRAC非登録。利用者側でのJASRAC関連手続きは原則不要

ただし、Tunelushが各配信プラットフォームでの動作を直接保証するわけではありません。Twitchのガイドライン本文は「自分が権利を持たない音楽は使えない」と書いており、Tunelushを契約することで「Tunelushの規約上の利用権を取得した」状態になりますが、Twitch側がそれをどう扱うかはTwitch側の判断です。配信運用ではTunelush規約とTwitchガイドラインの両方を読んだうえで使うのが誠実な姿勢です。

詳しい解約後ライセンスの設計は Artlist解約ガイドEpidemic Sound整理記事 で他社との比較も整理しています。

第5章 配信向けBGMサービスの選択肢を中立的に整理

Twitch公式のヘルプページ「Music Options for Streamers」で、2026年5月時点で参照可能な配信向けBGMサービスとして紹介されているものを並列で整理します。各サービスの設計思想は異なり、配信者の運用規模と予算で選択肢が分かれます。

サービス 区分 配信用途での主な特徴
Pretzel 月額サブスク 配信特化のBGMサービス。OBS連携・楽曲タグ表示など配信機能が充実
StreamBeats 一部無料 ストリーマー向けに楽曲を提供、商用利用OKを明示
Monstercat 月額サブスク EDM中心、ライセンスは独自プラン
Epidemic Sound 月額サブスク 海外サブスク、楽曲数が多い、為替変動を考慮
Soundstripe 月額サブスク 海外サブスク、動画・配信両方で使える
NCS(NoCopyrightSounds) YouTube公式 一部条件下で利用可、規約原文の確認が重要
Outertone 月額サブスク EDM・Bass系中心、Twitchとの相性で言及されることが多い
Tunelush 月額サブスク 国内サービス、月660円〜、Content ID未登録・JASRAC非登録・解約後永続を規約で明文化

各サービスの規約は2026年5月時点の公式情報をベースにしており、選定時には自分の運用規模・楽曲ジャンルの好み・サポート言語・解約後ライセンスで判断するのが現実的です。

無料BGM素材サイト(DOVA-SYNDROME・甘茶の音楽工房・魔王魂など)も配信BGMとして使えますが、各サイトの規約に従い、配信プラットフォームでの利用範囲が明記されているかを個別に確認します。

第6章 FAQ

Q1. Spotifyを配信BGMに使うのはOKですか?

Spotifyの利用規約では、個人視聴のためのライセンスしか提供されません。配信に音声として乗せるとTwitch・YouTubeのMusic Guidelines違反となり、DMCA通告の対象になり得ます。「個人で買ったCDやサブスクは配信で使えない」というのが、TwitchやYouTubeのガイドラインで繰り返し示されている公式の立場です。

Q2. ゲーム本編の音楽はBGMとして配信に乗せていいですか?

ゲーム本編の音楽はゲーム会社が著作権・原盤権を保有しており、利用ポリシーはゲーム会社ごとに異なります。配信者向けのガイドライン(Streaming Policy)を公開しているゲーム会社(任天堂、SIE、カプコン等)もあり、各社の方針を個別に確認する必要があります。ゲーム本編の音楽はBGMの著作権リスクとは別の論点として扱うのが正確で、本記事のスコープ外になります。

Q3. JASRAC管理楽曲を配信で使うのは安全ですか?

YouTubeはJASRACと包括契約を結んでいるため、JASRAC管理楽曲のYouTube利用自体は条件下で可能ですが、原盤権は別途権利者の許諾が必要で、市販音源をそのまま流すと原盤権侵害になります。Twitchについては、JASRAC包括契約の状況が個別に異なる可能性があり、JASRAC管理楽曲の配信利用は基本的にリスクが残ると考えた方が安全です。JASRAC非登録のBGMサービスを使うのが、もっとも構造的に明快な選択肢になります。

第7章 まとめ

ゲーム配信のBGM著作権で覚えておきたいポイントを3つに絞ります。

  1. 配信プラットフォームごとに著作権ルールが違う:YouTubeで使えるBGMがTwitchで使えるとは限らない
  2. 配信中・VOD・クリップ・第三者転載でリスクが段階的に上がる:「全フェーズで安全な楽曲」を選ぶのが量産配信の合理解
  3. Twitchの3振りルールは記録から消えない:事後対応より事前にDMCA対象にならない楽曲を中心に置く

ゲーム配信のBGM選びは、最終的には「配信プラットフォームの規約」と「BGMサービスの規約」の両方を読んだ上で、自分の運用規模に合う設計を選ぶことに尽きます。本記事で挙げた4軸(配信での利用許諾・VOD保存後の利用・転載先でのリスク・JASRAC関連の手間)は、サービス選定の現実的な道具になるはずです。

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🔗 用途別の深掘り記事(2026年5月公開)

※本記事に記載されている各サービスの料金・機能・利用規約・著作権関連の情報は、2026年5月9日時点で各社公式サイトに公開されている内容を参照しています。各サービスの仕様・価格・規約は予告なく変更される可能性があるため、契約や利用の前に必ず各サービスの公式サイトで最新情報をご確認ください。本記事の内容は法律相談ではありません。深刻なトラブルが発生した場合は弁護士など専門家への相談を推奨します。

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